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『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠密生活』の冒頭、数多の魔法陣から放たれる無数の氷の槍が、空を舞う翼竜を撃ち落とす――。
その光景は、息をのむほど美しく、そして残酷でした。

えっ、何この魔女っ子、めちゃくちゃカッコいい…!
画面の前でそう心を奪われたのは、きっと私だけではないはず。
実は、作中にも我々と同じように、あの一瞬で彼女の虜になったキャラクターがいます。それも、本作のもう一人の主人公、第二王子フェリクス・アーク・リディルです。
この記事では、原作の展開に触れながら、フェリクスが「沈黙の魔女」と「モニカ・ノートン」という二人の“モニカ”に対して、いかにして複雑で巨大な感情を……



「クソデカ感情」を育んでいったのかを、深く、熱く語っていくよ!



この記事は原作小説の重要なネタバレを含みます。アニメ派の方、未読の方はご注意ください。
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始まりは別々だった。二人の「モニカ」への異なる感情
物語が進むにつれ、フェリクスは二人の「モニカ」にそれぞれ異なる感情を抱いていきます。
- 一つは手の中に入れたい小動物への興味
- もう一つは神にも等しい存在への憧れ
この二つの感情が交わる時、彼の運命は大きく動き出すのです。



フェリクスって、背負っているものが多すぎてなんだか重そうだよね…



ええ。そして彼がモニカに抱く感情も、彼の境遇に負けず劣らず、とても重たいものになっていくんです。
①子リスへの興味と独占欲:フェリクス → モニカ・ノートン


当初、フェリクスにとって、気弱な辺境伯令嬢モニカ・ノートンは、手懐けるべき「子リス」のような存在でした。
彼の目的は、彼女とのゲーム。人馴れしておらず、自分に全く興味のないモニカを自分に懐かせて、なにを企んでいるのか白状させるという。
そのために、意図的にいじめの標的にさせ、自分が助け出すことで恩を売ることさえ考えていました。



自分より数字に集中するモニカが気になったのです



おもしれぇ女の子って思ったわけだね!!
当初の彼の算段
- 明確なイジメ役がいれば、モニカは自分を頼るはず。
- シリルをその役にしようとしたが、彼が優しすぎたため断念。
- 代わりに高慢なイザベルが適役だと判断したが…
この時点では、イザベルとモニカの間に隠された真の関係も、そしてモニカが「沈黙の魔女」であることにも、彼は全く気づいていません。
彼がモニカに興味を惹かれた、その理由は二つ。
- 王子である自分に全く興味を示さなかったこと。
- 幼い頃の自分(本物のフェリクス)の面影を彼女に見たこと
常に「王子」として見られ、人々に囲まれていながらも深い孤独を抱える彼にとって、自分を特別視せず、おどおどとしながらも芯の強さを見せるモニカは、次第に気になる存在へと変わっていきます。
二人は「アイク」と「モニカ」として夜の歓楽街で夜遊んだという秘密を共有します。



二人だけの秘密。これはもう、特別な関係の始まりの合図…?
そして学園祭ではダンスに誘う意味を持つバラを、シリルがモニカに贈ったと知った時のフェリクスの苛立ち。
それは、無自覚に芽生え始めていた独占欲の表れでした。
求愛したいわけではない。ただ、秘密を共有した彼女と過ごす時間は、きっと楽しいだろうと思っただけ――そう自問自答しながらも、彼は自分の心の変化に気づき始めていたのです。



アイクとしての自分を知る女性だしね



彼女の前だけでは本来の自分でいられたのかもしれません
②魔女への憧憬と神格化:フェリクス → 沈黙の魔女


話は少し遡り、フェリクスがまだモニカの正体を知る前。彼はお忍びで訪れていた東部地方で、黒竜災害に遭遇します。
民が混乱に陥る中、彼が目撃したのは、冒頭で語った「沈黙の魔女」による圧巻の翼竜殲滅でした。
被害を一切出さず、静かに、そして完璧に脅威を排除するその魔術は、自身も優れた魔術師であるフェリクスにとって、衝撃以外の何物でもありませんでした。
「なんて静かで、残酷で……美しい魔術だろう」
それは、魔術の奥深さを知る者だからこそ抱く、畏怖と感動が入り混じった一目惚れでした。



同期の七賢人ルイス・ミラーのド派手な仕事とは対照的ですね



そのギャップも彼の心を掴んだのかもね!
これまで「七賢人の中でも最も地味で目立たない存在」と言われていた沈黙の魔女。その評価を覆すほどの絶大な力と、それを誇示しない静かな佇まい。
そのギャップはフェリクスの探究心を激しく刺激し、彼はやがて「沈黙の魔女」という存在そのものに夢中になっていきます。
学園でモニカが正体を隠したまま「螺炎」を鎮めたと知った際には「なぜ自分は精霊王召喚の儀を見られなかったんだ!」と本気で悔しがるほど。その様子は、推しのライブを見逃したファンの嘆きそのものです。



早口で彼女の功績を語るシーンは、もはや怪文書の朗読会(笑)



この時点で「沈黙の魔女」に対する彼の感情は、紛れもなく「恋にも似た憧れ」でした。
全ての点が繋がる時、恋と罪悪感が彼を苛む
そして、運命の時が訪れます。フェリクスは、ついに一つの真実に辿り着きます。
【自分が手懐けようとしていた気弱な子リス(モニカ・ノートン)】と【自分が神の如く崇拝していた完璧な魔女(沈黙の魔女)】が、同一人物である、と
この瞬間に、彼の内でバラバラだった感情が一気に繋がり、混ざり合い、そして爆発します。
- 沈黙の魔女に対する信仰にも等しい敬意と憧憬
- モニカ・ノートンに対する、庇護欲と独占欲
- そして、彼女の父親の死に、自分の父親が間接的に関わってしまったという耐え難い罪悪感
これら全てが、たった一人の少女「モニカ」に向けられることになったのです。



その感情の重さは、もはや計り知れません。



それはもう好きになっちゃうしらめちゃくちゃ重い感情になるのも分かるわぁ…
まとめ|全てが結びついた時、自覚したのは複雑すぎる「恋」
- 気弱で守ってあげたい「モニカ・ノートン」の魅力。
- 完璧で気高い「沈黙の魔女」としての魅力。
そして、父の仇とも言える自分を、モニカが「アイク」として受け入れ、その存在を認めてくれたことへの感謝と喜び。
全てのピースがはまった時、フェリクスが自覚したのは、単なる憧れや興味ではない、はっきりとした「恋心」でした。
ちなみに、作中ではシリル、モニカ、フェリクス(アイザック)の三角関係が描かれますが、明確に「恋」を自覚しているのは、今のところフェリクスただ一人。



恋愛下手なキャラクターたちが織りなすラブコメが本格化するには、まだもう少し時間が必要なようです。



甘々な恋愛描写が少ないのは、キャラクターたちの不器用さからくるんだね!!
これから放送されるアニメで、このフェリクスの繊細で複雑な心境の変化がどこまで描かれるのか、本当に楽しみです。
個人的には、彼がモニカに救われる、あの重要なシーンまでぜひ映像化してほしいと願っています!